第99回(2008年7月10日)

アナログ波停止まで余すところ3年
 〜アナログ放送の終わりは、テレビ世代の終わり

(小寺信良=映像系アナリスト/コラムニスト)

 デジタル放送への完全切り替え、すなわちアナログ放送の停波は、2011年7月24日に行なわれる。あとちょうど3年だ。ところが日本のデジタル放送の普及率は、現在でもまだ4割程度である。それはいったいなぜか。

日本のデジタル放送は「不便」だ

 放送のデジタル化は、世界的な趨勢である。すでにスウェーデン、イタリア、フィンランドなどの諸国はアナログ停波を実施している。放送をデジタル化すれば電波の使用領域が圧縮できるため、それで空いた領域を他のことに使えるというメリットが生まれる。

 日本も早くそうすればいいのではないか、と海外の人は思うだろう。しかし日本のデジタル放送は、他国とは全く違っている。デジタル放送の受信世帯が未だもって4割程度なのは、アナログ停波を知らないからではない。現行のデジタル放送に不満があるからだと筆者は思っている。

 デジタル放送は、アナログ放送に比べて不便だ。これまでアナログ放送では、番組をVHSに録画しようがDVDに保存しようがiPodに転送しようが、自由だった。しかしデジタル放送ではコピー制御が効いているため、CPRMというコピー制御対応のDVDメディアしか使用できない。また一度DVDに書き込んだら、それ以降はコピーすることができない。7月4日から地上デジタル放送で「ダビング10」が運用開始になったが、回数に制限があることに変わりはなく、ダビング10でコピーしたDVDから、さらにコピーする孫コピーもできない。ダビング10に対応していない旧来機種ではコピーワンスのままだ。

 以前VHSとDVDのダブルデッキが異様に売れた時期があった。あれはVHSのライブラリをDVDに移行したい人が多かったからだ。しかしデジタル放送を録画したDVDは、今後普及するであろうBlu-rayにはコピーできない。今のメディアが劣化して読めなくなったら、それで終わりだ。

(関連記事)